白黒の緻密なペン画に、うたやなぞなぞめいた言葉を付し、不幸や不吉や不安を、毅然とユーモアにかつ淡々と描くエドワード・ゴーリー。日本で本格的に彼の絵本を出版してきた版元から、今度はゴーリーに関する情報が満載のゴーリー読本が出た。 巻頭を飾るカラー図版には、ゴーリー描くところのポスター、精巧なつくりの飛び出す絵本、あるいはカレンダー、ぬいぐるみ、スタンプ、ピンバッチ、T-シャツなどゴーリーグッズの数々。寡作そうな、秘密めいた作風の絵本しか知らなかった目には、意外に大衆性のある、ゴーリーの新たな像があざやかに見える。 編者濱中利信による、120冊の「Primary Books」(ゴーリー自身の、またはそれに準じるものとして発表された作品)カタログが圧巻。ゴーリーの膨大な作品の一端を、表紙のカラー写真と短い解説文でつぶさに紹介するこの労作は、奥深いゴーリー世界への魅力的な窓口となっている。濱中は、1999年にゴーリー紹介のホームページを開設した、日本でのゴーリー・マニアの第一人者。 その濱中に、既刊6冊のゴーリー本名訳者柴田元幸と、小説家でエッセイスト、絵本の翻訳も多い江國香織が加わった鼎談が楽しい。ゴーリー本の版元ニューヨークの伝説的古書店ゴサム・ブックマートの店主や、サンフランシスコ在住のゴーリー研究家によるエッセイほか、どの著者からも、読者をゴーリー・コレクターへと誘う、怪しく知的な風が吹いてくる。ゴーリーその人の顔写真もさりげなく一葉。これは貴重、見てのお楽しみ。 ひそかに濃く楽しんできたマニアには、ファン層が一挙に拡がりそうな、うれしくも不安なる1冊かもしれない。(中村えつこ)
好きな人はもっと好きに、そうでない人はそれなりに。
エドワード・ゴーリーを理解するなんて不可能。ただちょっと覗いてみたい、その頭の中・・・。ファンのささやかな願いを叶えてくれるような本書は、「ゴーリー読本」でもあり「ゴーリーおじさんへのファンレター」でもあるようです。ゴーリー作品の翻訳でお馴染みの柴田氏と、(なぜか)江國香織さんのゴーリー談議が予想以上に面白かった。独特のファッションで街中を闊歩するゴーリー。猫をこよなく愛するゴーリー。作品の持つ暗く辛辣なイメージだけでゴーリーを語ることはできないのだと、感慨深く読ませていただいた。
それにしても、世間には出回らないマニアックな作品数知れず。コレクターは大変な苦労をして収集しているようです。創りが凝っているため大量生産が不可能なものも多く、単純に「日本語訳を出版してほしい」とは言えそうにない・・・。今後どれくらいの作品が日本語訳されるのか分かりませんが、1作でも多くファンに届けてほしい。
Primary Books紹介がうれしい
120ページ程度のコンパクトな本で気軽に読めます。T.S.エリオットの猫の本の挿絵で有名なゴーリーの経歴、彼の熱烈なファンである執筆者達の興味深いエピソード、ゴーリー用語集など盛り沢山。Primaryのカタログは見ているだけでも楽しめます。
エドワード・ゴーリーって誰?
「エドワード・ゴーリーの世界」の発売を知り読んで見ると、発売当時のアメリカでも皆、私と同じようにレジへ向かうまで何度も手にとっては置くという動作を繰り返していたらしい。万国共通の反応と知って、ちょっとおかしくなる。どうやら「少々不気味」だけど「ユーモア」があるのがこの作者の特徴らしいので、袋の中にしまったままの本をようやく取り出せそうである。(でもまだ、ちょっと怖い) 「エドワード・ゴーリー」紹介のこの本を読んで見ると「見たことがある」絵がいくつか出てくる。知らない間にゴーリー作品は本ばかりでなく、色々と目に留まっているようだ。また、ゴーリー作品は何度も何度も読むといろいろな部分が見えて来るという。でも、とても難解らしい。私個人としては分からないものは分からないまま楽しんでもいいのでは無いかと思っているが・・・ この本には、今まで出版された書籍の表紙の写真と一緒に解説が載っているので、読みたくなる本がいくつも出てきてしまった。「ユーモア」「不気味」「キャラクター」「言葉あそび」、まずはどれから始めようかな。
河出書房新社
優雅に叱責する自転車 華々しき鼻血 どんどん変に…―エドワード・ゴーリーインタビュー集成 まったき動物園 敬虔な幼子
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